ところで、インピーダンスとは何なのでしょう?
恐らく皆さんも聞いた事がある「ハイ・インピー」「ロー・インピー」というアレです。
パッシブギター/ベースはハイ・インピー。
アクティヴギター/ベースはローインピー。
キーボード等はローインピー。
マイクはハイインピー。
等々。
さらに、アンプヘッドからの出力やスピーカーボックス(キャビ)の入力もインピーダンス(オーム/Ω)という表記ですよね。4Ωとか16Ωとか。別にローインピーともハイインピーとも書いてありません。この場合は数字を合わせればOKという事ですね。
さらに!一部ヴォリュームペダルにもハイ・インピー用とローインピー用が存在します。
これほどまでに楽器(特にエレキギター/ベース)使用者(すなわちミュージシャン)にとって身近な存在であるインピーダンスですが、いざ「インピーダンスの説明をして下さい」と言われると、何とも説明しにくいものであります。
とは言っても「ジャーン」と鳴った音を聞いて「はい、今のは何ワットの出力でしょうか?」といわれても解らないのと同じで、別にプレイヤーがそれほど理解する必要は無いのです。
耳で聞いていい音、またはその時に必要なバランスの良い音量/出力かどうか、と言う事が問題であって、何ワットの出力かなどと言う事は気にする事はありません。
ライブハウスでPAさんから「すみませんが3ワット出力を下げて下さい」とも言われませんし「20デシベルあげて下さい」と演奏者が言われる事はないでしょう。
しかし、楽器の音決めをする時、インピーダンス問題は結構厄介です。
入力インピーダンスや出力インピーダンスは結構そのエフェクタ前後の音質に関係するモノです。
例えば入力側を「ローインピー受け」にしてパッシブの楽器を入力すると「ハイ落ち」した音になります。これはそれぞれの数値にもよりますが、一般的にそういう結果になると思います。
逆にハイ・インピーダンスすぎると高域が気になったりもします。勿論、ハムバッカーとシングルコイルのピックアップによって楽器の出力インピーダンスも変わってきますし、プリアンプを搭載したベース等では出力はローインピーダンスになります。
さて、ではそのインピーダンスを今回のSVD-001の場合、どの数値にFIXするか?
これはもう、勘です。
いやいや、このエフェクターはアクティヴ・ベーシスト向けか?あるいはパッシヴベーシスト向けか?と考えて作るのであればともかく、一般的なベースで太く、幅広い音がつくれるオーヴァードライブを製作したいので、あまりベーシストのレンジ(ミュージシャンの幅)を狭くしたくはなかったんですね。かといって、どんなベースをプラグインしても、同じ音が出るエフェクタ、というのも今回の企画内容とは異なります。
勿論弊社のDPA-シリーズのプリアンプとも違うインピーダンスに設定する必要があります(DPAは常にONになっている状態なので)
結局、すこーしだけ偏った設定にまとまりました。他と同じ物を作っても仕方がありませんし、そもそも今回のスタートは「他とは違うベース用の歪み」でしたから。これでOK!
そうしてインピーダンスを決定して、更に試行錯誤の末にEQも納得できる位置に設定し、あらゆるベースとアンプでチェックを行って完成したのが「SVD-001」です。
多くのベーシストの方からご意見をいただきました。
もちろん賛否両論ありましたが、多くの方から「他にはない歪みだね」と言っていただいております。
独特な歪み。
多くのミュージシャンが好む物ではないかもしれませんが、この歪みが必要な方の手に渡ってくれていたら幸いです。
そして今年、クルーズエフェクタ部門では、また新しい企画がスタートしました。
今度のお題は
「どんなミュージシャンにも好まれるオーヴァードライブって出来ないのか?」です。
・・・果たしてどうなる事やら。
新しいオーヴァードライブについてはまたの機会に。